今日、友達が死んだ。


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〜祈り〜

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   今日、友達が死んだ。

   交通事故とか、病気とかではなくて、殺された。
   殺されて死んでしまった。

   まわりのみんな、数人ぐらいが泣いている声が聞こえた。でも、僕は泣けなかった。

   泣かなかった。

   だって、これも仕方のないことで。
   今、僕たちは『戦争』という不条理な日常のなかにいて。
   いつ殺されるともわからない、『幻獣』との戦いに日々明け暮れていて。

   そうだ。
   仕方のないことなんだ。

   そうやって考えるのが一番、正しいじゃないか。

   先生だって言っていた(ああ、その先生が泣いている。)。
   僕も、それに彼だって望んでここに来たんじゃないか。

   死ぬことだってあることも、わかっていたじゃないか。


   なのに。

   (違和感に気がついたのは、ヘッドギアから彼の恐怖まじりの声が聞こえたときだった)

   (「ひっ・・・」とか、声にならない声をあげていた)

   (だから助けに行こうとしたんだ)

   (まわりにいる敵を倒して、すぐにかけつけようとして)

   沈黙


   (まわりが静かになって、彼のもとにかけつけると、もう彼は『生きて』いなかった)

   (肩から真っ白な骨が飛び出していて)

   (腕がなくなっていた。足も千切れかけていて、お腹のほうは見るのも嫌になるくらい・・・酷い有様で)

   (それを見たとき、僕は)

   「・・・・・・苦しまずに、逝けた?」

    なんて、聞いていた。
    答えてくれるはずはないだろうけど、思わず聞いてしまっていた。

   「誰かを想う暇がないくらい、すぐに逝けた?
    世界のすべてに謝る前に、逝けた?」

    すべてに。

    きっと僕も死ぬとき、死を予感したときに『謝る』のだろうか。

    世界のすべてに、生きている人々に、死んでしまった人たちに、殺してしまった幻獣たちに、すべてに。

    謝るの、だろうか。




    ささやかな祈り。
    そして僕は、始めて、泣いた。


   「もう、これで、苦しむこともないよ。きっとね。」

    それは誰かに言ったささやかな嘲りの言葉。




<終>




<ささやかな抵抗>
ついさっきまで話していた友達が死んでしまう。
それを想像したりすることはできないし、味わいたいとも思いません。

哀しいんだろうか、とか。
辛いんだろうか、とか。
そんなおざなりの言葉ですまされるはずのない、感情。

きっと、もっと、わけのわからない、それこそ言葉で制限されたものには現すことはかなわないのでしょう。
そんなことをぼんやりと考えていました。