秘密を共有する仲というものは、なんだかんだで親密になる傾向があるようです。
   −まあ、それは子供の児戯にも似たようなもの。でも子供の秘密にこそ、その傾向があるようで。−



 曹昴:………思う、故に……
 呂布:……………ギ?
 曹昴:あ、難しかったですか?
 呂布:…俺ハ子供カ。
 曹昴:そうじゃなくって…実は、私も書いてある言い回しが難しくて、これに何が書いてあるのかさっぱり……(苦笑)
 呂布:……ソウカ。
 曹昴:要は、
 呂布:アア。
 曹昴:……さっさと兵糧をよこしやがれーっていう催促みたいな?
 呂布:ヤガレ?
 曹昴:はい。やがれー。
 呂布:………(プッと吹き出している)
 曹昴:(にこにこと笑いながら呂布の様子を見つめている。)

 

 張遼:………ふむ。
 曹操:おお、どうやら最近、あの二人が仲が親密になったという噂は本当らしいな、張遼。
 (物陰から覗いている二人。
  とは言っても、あの黄金の鎧と、あの羽しょってる君主様なので、隠密でもなんでもない。
  でも城の人たちは優しい(え)ので見て見ぬふり。)
 張遼:そのようですが…殿、何故我々がこのようなことを。
 曹操:お前、気にならないのか。
 張遼:お二人が誰と仲良くしようとも、本人の意志ひとつでは?
 曹操:甘いな。
 張遼:…………はぁ。
 曹操:甘い! 甘すぎる!! 張遼、お前がしっかりと呂布の心を掴んでおかねば、俺の大事な息子に鞍替えするかもしれんだろう!

 (どーーーーん!!!)

 張遼:…(目を丸くしている)……は?
 曹操:言ってはなんだが、昴はお買い得だぞ!(え)
 張遼:お買い得って……(汗)
 曹操:家事全般はプロ級。料理、洗濯、掃除、育児、何をとってもスペシャリストだ。
 (それって長子としてどうなのだろうかと不安になる張遼の図。)
 曹操:(気付いていない)そして、なんといっても曹家の嫡男だからな。
 張遼:それは…まあ。しかし、次期王には曹丕様を、と。
 曹操:まあな。昴のヤツが自分が上に立って政をするべきではないとかなんとか言っておるのだ。
     だが、曹家の長子。それに、一族の一員であることには変わりあるまい?
     そして!

 曹操:なんといっても! 俺の息子のなかでも一番可愛らしいぞ!
 張遼:えええええええええっっっっ!!!(驚愕)
 曹操:む。なんだ、不満か。張遼。
 張遼:ふ、不満というか…可愛いの、です、か?(汗)
 曹操:おう。下手をすると娘の節よりも愛らしい時がある(真顔)
 (父親として何を言い出しているのだろうか、と曹操の言動に辟易している張遼。)
 曹丕:それは同意見だ。
 張遼:ぅお!(吃驚)
 曹彰:そうそう。兄貴って笑うとなんか、へにゃーってなっちゃうんだよな。
 曹植:まわりまで伝染してしまうような笑顔の持ち主ですから。
 曹操:おお、お前達。
 張遼:……いや、あの…私としましては…男子である曹昴様にそれが聞こえては…あまり…(汗)
 曹皇后:大丈夫よ! 兄様が可愛いのはみんな知ってるもの。
 張遼:(どこから!?←張遼、精一杯の心のツッコミ)

 曹丕:しかし…まさか。
 曹彰:昴兄貴が膝抱っこまで許してるとは思わなかったぜ…!!
 曹皇后:ずるいですわっ! 私だって最近は頼みこまないとやってくださらないのにっ!
 (現在。曹昴が呂布を膝抱っこしており、そこに書簡を広げて二人で眺めている状態です(笑))
 曹植:仕方ありませんよ。何しろ、呂布殿は兄上にとって『憧れの人』なのですから。
 曹操:なにぃ!? それは初耳だぞ!
 曹丕:どういうことだ。
 曹植:あの武勇に憧れていらっしゃるんですよ。戦場での天下無双は、武将としての兄上にとってはまるで雲の上の方のような伝説ですから。
 曹皇后:でもでも! 今はちっちゃいじゃないっ!
 曹彰:そうだそうだー!
 張遼:…お言葉ですが……呂布殿は未だにあの小ささで一個師団くらいはぶっ飛ばすくらいは出来ますが……?
 曹丕:計略か…
 曹彰:でもなんかずるいっ!
 曹皇后:断固! 抗議しますっ!!




 (わいわいがやがやと騒いでいる一角。
  それをすでに気付いて眺めている曹昴と呂布。ちなみに今までの会話、全部筒抜け。)




 曹昴:…(真っ赤)…すみません。
 呂布:…イヤ……気ニスルナ。悪イノハアイツラダ。
 曹昴:でも、申し訳ないです……いつもはみんなもっと……もっと、いいこたちなんですけど…(首まで真っ赤)
 呂布:………曹昴。
 曹昴:は、はい。
 呂布:アイツラニ構イスギダ。
 曹昴:え……
 呂布:カワイイダノ、ナンダノト……アレデハ、オ前ハ姫扱イダゾ。
 曹昴:……ぁぅ……(真っ赤)

 呂布:……(溜息)………曹昴。行クゾ。
 曹昴:え、あの……呂将軍?
 呂布:アイツラガ言イ出シテイルンダ。(顔を上へと仰ぎ)
     ソレニ答エテ、デートデモスルカ?
 曹昴:……(目を丸くしている)……でーと。
 呂布:アア。
 曹昴:…………(くふり、と唇を緩めて笑い)そうですね。たまには良い薬です。デート、しましょうか。呂将軍。
 呂布:オウ。

 (頷いた呂布を腕に抱いて立ち上がり、そのまま地面を蹴って走り出す曹昴。
  後ろでわき上がった悲鳴は、聞こえないふりを決め込んで。)




 −おしまい。−