美女と野獣というおとぎ話を知っているだろうか。
魔法によって醜い獣の姿に変えられてしまった王子と、そんな彼を心から愛した美しい女性の、しあわせなおとぎ話を。
めでたしめでたしで終わるおとぎ話。
けれど、そんなしあわせなはずのお話の裏には、語られないものがあるのもまた、ひとつの物語。
むかしむかし、
しあわせな結末を迎えた美女と王子は、しばらくの後に子どもを授かりました。
愛しい我が子。
どんな子だろうかと期待に胸を躍らせていた彼らは、けれど美女が産み落とした赤子を一目見た瞬間に絶望の悲鳴を上げました。
産み落とされた赤子は酷く醜い姿をしてたからです。
成長し、自らの姿に深く絶望していたその子は、自分自身に魔法をかけました。
いつかと同じように。
……いいえ、いつかとは違うものを。
美女と野獣は、王子が魔法をかけられて醜い獣の姿となり果てました。
その子は、自らに魔法を……呪いをかけて、醜い人間から、美しい獣の姿になったのです。
美しい獣は今日も自らが作り上げた城で暮らしています。
世界中のありとあらゆる美しいものを集めた城のなか、けれど広いその城に住まうのは、獣ただひとりだけ。
獣はそれでいいと思っていました。
美しい自分にふさわしいものに囲まれて、醜い外界のことなど煩わされることもなく過ごす。
それで美しい獣は満足でした。
他にはなにもいらないと思っていました。
…………思って、いたのです。
Tha Beast.−00−