長い、長い回廊を靴音を立てながら走っていく。
 途中、誰かが……確かゲートの警備員だという、ここへやって来るたびに何度か顔を合わせることとなった相手なのだが、今はそれを思い出す余裕がないので……声をかけてきたような気がしたが、それに構う間もなく、小松は真っ直ぐに廊下を進んでいく。
 無機質な壁が続く様子は、平素でも「なんだか無限回廊みたいだな」という感想を小松が受けるほどなのに、今はそれが本当のことのような気がしてならなかった。
 荒い息をつきながら、それでも小松は足を止めずにただ走る。
 常なら「こ、こんにちは、ご苦労様です」とぎこちなく自分たちにも挨拶をしてくれる小松とはまるで違う様子に、特別ゲートを守る警備員たちも揃ってそれぞれに顔を見合わせた。
 そしてその原因ともいうものを思い至ったのか、仕方ないとでも言いたげにまた職務に戻る。

 IGOの所有する第一ビオトープ。
 そのなかにある第一研究所。
 小松が縁あってここに幾度か顔を出すこととなってから、結構な月日がたっている。
 トリコから始まって、この研究所の責任者でもある所長のマンサム。そしてリンと懇意になってから、暇と呼び出しがある度に(たとえトリコといった四天王たちがいなくても)やって来ていた。
 今回もマンサムからの呼び出しだった。
 しかしその呼び出しというのが、いつもの『面白い酒が手に入った。ついでに食材も幾つか開発されたから、ちょっとお前がこっちに来て調理してみてくれないか』というものではなく(たまにリンが『暇ならこっちに遊びに来てほしーし! 小松さんならトリコ抜きでも大歓迎!! ……一緒に来てくれたら、そりゃ、ものすごーく嬉しいけど(ぽそり)』という駄々をこねたりもする)、『至急、こっちに来て欲しい』という実に簡素なものだったのだ。
 しかも、その簡素さに反して小松の職務の一切を放棄させての『特別召集』だったのである。
 (さすがにそれに対してウーメンが、『うちの子に何させる気なのよン!』と食ってかかったらしいが、数分の密談ののちに溜息とともに小松の出向を正式に了承した)

 すわ何事かと小松は驚愕したのだが、何より、彼をさらに混乱の坩堝に叩き込んだのが今回の緊急の事案にトリコたちが絡んでいるということを聞かされたからである。
 これは辞令を出したウーメンが呟いたもので、彼もそれを無意識に口にしてしまったらしく、『しまった』という顔をして口を噤んでしまい、それ以上は小松に教えてくれなかった。
 小松はトリコたちに何かあったのではないかと気が気では無く、研究所に向かう特別ヘリのなかでもソワソワと落ち着かなかった。
 迎えに来たヘリの操縦士に何があったのかと尋ねたのだが、相手も呼び出しがあったから小松を迎えに来ただけで何があったのかはわからないとのことだった。
 特別ヘリというだけあって、いつもより余程早い時間でついたのだがそれさえも長く感じられ、ヘリポートに到着するのと同時に小松はヘリのドアを開けて研究所入口へと走り出して言ってしまう。

(どうしよう。もしかして大きな怪我したとか……!
 でもそれなら研究所のひとたちが何とかしてくれるだろうし)

 グルグルと答えの出ない疑問が頭を駆け巡り、出口のない気持ち悪さだけが小松の胸を重くする。
 とにかく急いでマンサムのところへ向かい、何かあったのか聞き出さなければと小松は先を急ぐ。
 既に勝手知ったる何とやらで小松は迷うことなく回廊を進む。
 ほどなくして、小松はマンサムがいつも使っている所長室の前まで辿り着いた。

 ドアの開閉スイッチへ叩きつけるかのように手を下ろし、バン! と音を立てる。
 開閉の一瞬の間さえ、惜しいとでも言わんばかりに小松は入口の隙間が開くのを見ると室内へと走り込んだ。

「所長さん! トリコさんたちに何かあったって聞い」

 て来ました、と、小松は言葉を続けることが出来なかった。
 室内にいたのはマンサムではなく、そこに見慣れぬ一人の少年がいるだけだったからだ。
 いや、見慣れない、なんてことはない。
 小松はこの姿をよく知っている。

 硬直から程なくして、ぱち、ん、と緩慢に瞼が開閉する。

「…………コマツ?」

 部屋に走り込んだ小松のすぐ目の前。
 室内のほぼ中央に、その少年は立っていた。
 年齢は十五歳くらいだろうか。まだ青年になる前の伸び盛りの青少年、という印象を受ける。
 白銀のようにキラキラと輝かんばかりの白髪。
 強い意志を宿した黒い瞳と、両側の頬に走る特徴的な痣。
 そしてその顔は、間違いなくトリコのものだったのだ。

「……え、あ、あれ……?」

 だが小松は相手がトリコだとはどうしても思えず、違和感に途惑ってしまう。
 感じるのは違和感だけで、忌避感といったものはまったくと言っていいほど感じられない。むしろ、懐かしさや親しみやすさと言ったものを感じるのだが、顔はどうみてもトリコのものだ。だからこそ違和感が大きくて小松の戸惑いはより大きなものとなっていた。
 いや、今のトリコを十歳ほど若くした感じ、と言えば伝わりやすいだろうか。
 そう、少年のトリコがこんな顔をしていたのかもしれない、と予想したままがそこにいるのだ。髪の色はまったくと言っていいほど違うのだが。
 『彼』は小松の名前を口にし、躊躇うような仕草を見せている。
 相手の顔をジィ、と小松は硬直したがゆえに見つめてしまっていた。
 そしてその瞳を……顔の作りや外見的なものを抜きにして、ただその一点だけを見た小松は、脳裏に過ぎった『イメージ』に目を丸くする。

「…………………テリー」

 目を見て流れ込んだイメージは、年若きバトルウルフ。
 トリコの相棒でもあるテリーの姿に他ならなかった。
 呆然としたまま無意識に紡がれたに等しい名前だったが、それを聞いた瞬間に今まで表情を硬くしていたトリコ……いや、白い少年が瞬時にパァァァァ、と輝かんばかりの喜色を浮かべて小松へと視線を戻した。
 うん、と無言で頷いてくれるオマケつきだ。
 つまりそれは、小松の先ほどの呟き、相手への『呼びかけ』が正解であることを物語っている。

「え、え、え、えぇぇぇぇぇ」

 嬉しそうな『テリー』に対して、正解を貰ってしまった小松は困惑するしかない。
 え、え、テリー?
 あれ、トリコさん、じゃなくて、テリー? え、どういうこと?
 と、頭のなかにはひたすらに疑問符ばかりが浮かんで消えてくれない。
 そこへ、小松の背後のドアが……所長室の出入り口でもあるドアが、しゅん、と軽い音を立てて開いた。

「やっぱり、コマツは言わなくても気付いてくれたね」

 涼やかな声だった。
 新たに現れたそれに小松が振り返れば、入口の先でにこり、と笑みを浮かべた漆黒の青年…………姿形はココとそっくりなのだが、瞳の色と外見年齢(十八歳くらい)と、ついでに雰囲気に明るさがプラスされているが……と、そして彼の後ろに隠れるようにして明るい紫の髪色をした中性的な子どもが、ジッと小松を見つめて並んで立っていた。
 ちなみに、後者の容貌は『サニーの子どもの頃はこんな感じかもしれない』と言ったところだろうか。
 ただし、不安げにこちらを見る雰囲気がどうしてもサニーとは違和感がありすぎるわけだが。

「……え、」

 意味の無い言葉ばかりが小松の口からこぼれ落ちていく。
 この場でいったい何が起きているのかわからずオロオロとするばかりの小松だったが、後から来た二人の雰囲気は先のテリーと同じく慣れ親しんだもので、恐る恐ると言った感じで自身の予想を言葉にしてみる。

「………………キッス、と、クイン……?」
「それも正解」
「さすがコマツ! やっぱりお前って変なところが規格外すぎるな」

 あっさりとココに似た青年……キッスが頷きながら答え、テリーも先ほどの明るい雰囲気をそのままにひょっこりと後ろから小松を覗き込むような姿勢で近づいて来た。
 小松は、言葉がそれ以上出なかった。
 混乱の坩堝に叩き込まれた小松をある程度予想していたのか、それともあまりの混乱ぶりに憐憫の情が湧いたのか、キッスが気の毒そうに苦笑いをこぼして口を開く。

「とりあえず、何が起こったのか簡潔に説明するね?
 コマツは答えてくれなくてもいいよ。聞きながら整理して、それで落ち着いてくれたらそれでいいから」
「…………コマツ、だいじょうぶだし?」

 優しく諭すように促され、ついで、今まで黙りこくっていたクインからも心配そうに尋ねられてしまったことで小松もようやく硬直から脱し、一度だけ頷くことに成功する。
 それは説明をしてほしい、というものと、大丈夫だという答えを混ぜたものだった。
 ホッと胸を撫で下ろした様子のクインを後目に、キッスは(ついでにテリーがたまに注釈を加える感じで)訥々と今に至るまでの事柄を話し始めた。



 (キッス説明中)



 おおまかにまとめると次のような話になる。
 今回、テリーとキッス、そしてクインが今の姿……世間一般で言うところの『擬人化』してしまったのは、とあるグルメ食材が原因だということ。
 研究所内で開発されていたものであり、効能としては数日ほど人間が動物に、動物が人間に『転換』するものであるということ。
 (どんな思惑があって作られていたのかはわからないし、知りたくも無いがどうせくだらない遊びにも似た欲求を満たすために開発されたのではないかと愚痴のようにキッスは言った)
 まだ開発段階であったそれが、手違いからちょうど第一ビオトープにそれぞれ修行のために赴いていたトリコたちが口にしてしまったということ。
 だが、未開発の部分が大きく、転換されたのは姿形というよりは、『それぞれ繋がりの強い(=パートナー)相手との種族が入れ替わってしまった』ということ。
 効能によってテリーとキッス、そしてクインはそれぞれのパートナーの姿とうり二つの特徴を持った『人間』となり、トリコたちはそれぞれパートナーと同じ『動物』の姿になってしまったこと。
 今、トリコ達はそれぞれに綿密な検診の最中で(テリーたちもそれを受けていたが、一段落ついたのでここに集まっていた)マンサムたちもそれに出かけてしまっていること。

 ……まとめるだけでもこれだけのことをキッスは長く語り終え、ふぅー、と長い溜息をつく。

「まったく、ここの人間たちは面倒ごとばかり作ってくれる」

 心のどこかで嘲りにも似た口ぶりだったが、その声はココそっくりで小松は苦笑いを浮かべるくらいしかできない。

(キッスもココさんに似て毒舌だったんだー)

 などという感想も抱いたが口に出すようなことはしなかった。
 かわりに、

「それで、トリコさんたちは」

 という当たり前の疑問をぶつけてみることにした。

「トリコたちは検査は受けてるけど今のところ体調に変化はなし。
 ……まあ、なんか寝てばっかりなんだけどさ」
「寝てばかり?」
「…………さいぼーレベルでからだが作りかえられたから、それでエネルギーがたりなくてねちゃうんじゃないか、って……」

 小松の疑問に答えたのは前半部分がテリーで、後半はクインだった。
 双方の注釈にキッスも、うん、と頷いてからさらに話を続ける。

「ボクたちも最初は寝てばかりだったけど今は落ち着いたから、ココたちもそのうち安定するだろうっていう見解が強いよ」
「じゃあ、トリコさんたちは大丈夫なんですね」
「そう言ってるだろ?」
「……そっか、」

 キッスたちの言葉に小松はホッとした様子で「よかった」と呟きを落とす。
 それは本当に心の底からそう思っているからこそ紡がれる声で、小松の言葉を聞いた一同は揃って目を瞬かせ、それから嬉しそうに双眸を崩す。
 パートナーたちの無事を心から喜んでくれて嬉しくないわけがないのだ。

「あ、で、でも、大丈夫ならどうしてボク、ここに呼ばれたんですか?」

 そこでどうして自分が緊急で呼び出されたのかという疑問に行き当たった小松が改めて尋ねてみる。
 それについては、キッスがうん、と一度頷いてから、

「ボクたちがキミを呼んでもらったんだ」
「キッスたち、が?」

 小松の声に、キッスとテリー、そしてクインも揃って大きく頷いた。

 彼ら曰く、
 人間の姿になったせいか、いつもの獲物を口にしてもまったく美味しく感じることができないばかりか、生のまま摂取することが難しくなってしまったらしい。
 その上、パートナーと種族を入れ替えてしまったせいか、あるいはパートナーの体質をも引き継いでしまったせいか、食事を摂取しなければ体の衰弱が大きく、さすがのテリーたちも辟易してしまっているということ。
 だが、どんなに衰弱したとしても自分たちはおろか、パートナーたちを余計な目に合わせた研究所関係者の作ったものなど断じて口にしたくはない、と頑なに突っぱねたのだと。

「そ、それって大変じゃないですか!」

 後半の話のくだりを聞いていた小松が、目覚めてから長く満足な食事を取っていないという彼らに向かってガタリと音を立てて向き直る。
 トリコたちにとって食事(=消費カロリー)がとても大切なものであり、枯渇は危険だということを知っているからこその反応だった。暗に、どうして命に関わるのに食事をしないのかというテリーたちへの非難も含まれている。

「絶対ヤダ」
「食事に何を混ぜられるかわかったものじゃないしね」
「…………」

 しかし小松の非難をもテリーたちは固く突っぱねた。
 クインに至っても嫌そうに首を振るばかりで譲ろうとしない。

「…………! も、も、う……!!」

 その頑固さ、プライドなどといったものがあるからこその固辞に小松は軽く眩暈を覚えてこめかみを抑える。
 こういうところもパートナーに似てしまったのかと嘆きをも含んでいた。
 …………それでも、心のどこかで納得してしまう自分がいるので小松も強くは言い出せないのが悲しいところだ。

「……わからない、わけじゃないんだけどね」

 こっそりと呟き、小松は大きく溜息をつく。
 諦観を含んだ響きにテリーたちは揃って視線を見合わせて、それから「悪ぃ」「ごめんね」「……ごめんだし」とそれぞれに謝罪する。

 そして最後に彼らはマンサムに『食事をしてもいいが条件がある』と切り出したのだ。
 その条件とは、『小松の作ったものなら、食べてもいい』というもの。

「だからボクが呼ばれたんだね」
「そういうこと」

 わかってくれて助かる、とキッスは嘯くようにして告げる。
 小松もこれ以上は強くツッコむ気もなく、またこれ以上、余計な時間を重ねるわけにもいかなかったので、よいしょ、とと姿勢を正した。

「お腹、空いてるんだよね?」
「ああ」
「うん」
「すごく……」

 なんとも素直な三者に、小松は「しょうがないなぁ」と口調とは裏腹に明るく笑ってみせる。

「じゃあ、急いで何か作るから待ってて!」

 勢い良く小松は腕まくりをして力強く宣言する。
 欠食童子に一刻も早く栄養をたっぷりと取ってもらうためにどうするべきかとメニューに頭を巡らせながら、研究所内にあるキッチンへと向かっていった。
 その勇ましい小さな後ろ姿を見て、テリーたちが揃って顔を見合わせ、

「……やっぱりコマツってすごいよな」
「うん、わかってたけど再確認。ココが心を許したのもわかるかも」
「…………かっこいー……」

 それぞれに感想を言い合ったのだが、小松がそれを知ることは、ついになかった。





 >おまけ。

「……コマツ」
「はーい? あ、クイン、どうしたの」

 まだ追加のごはんできてないんだよー、と言いながら小松は忙しく立ち回っていたキッチンから、入口の脇でこっそりとこちらを覗き込んでいるクインの元へと走り寄る。
 近寄ればクインの身長は小松の頭一つ分は小さく、少女とも少年とも取れる中性的な容貌を持つ相手が自分を見上げてくるのがわかる。
 中性的、というのは神秘的とも受け取れるのかもしれない。
 現に、今のクインは幼さと相俟ってどちらとの性とも取れるし、どちらだとしても造詣の美しさは変わらないのだ。

(んー、サニーさんが綺麗っていうのもあるけど、昔はこんな風に中性的な感じだったのかなー?
 テリーとキッスはトリコさんたちをそのまま若く……今も若いけど……した感じだし)

「ううん、ごはんじゃなくて、」

 小松がひとり脳内で言葉を巡らせているところで、クインはぽそぽそと小さな声で呟きながら首を横に振る。
 どうしたんだろう、と小松が首を傾げてクインの話の続きを待つ。
 沈黙。
 迷うような仕草を見せていたクインだったが、やがて意を決したようにそっと小松を見返した。

「コマツにおねがいがあるの」
「なぁに?」

 クインの言葉に小松はたいして考えるわけでもなく先を促す。
 それは余計な気をまわしてクインが言葉を呑み込んでしまわないための配慮による短い言葉だった。彼の言葉に後押しされるかのように、クインがゆっくりと口を開く。

「……ウチ、コマツをだきしめたい」
「…………ん?」
「ウチ、いつもは手とか足とかなくて、コマツをだきしめられない、し……」

 そういえば蛇の姿のときは、抱きしめるというよりは巻き付くと言った方がいいかな、と小松は考える。
 付け加えて、クインはマザースネイクであり、その巨躯は子どもながらも『マザー』と讃えられるほどの巨大さを誇っていて、下手をすれば小松を押し潰しかねないほどだ。

「…………………ダメ?」

 こてん、と首を傾げる仕草に、小松はズキューーーーン! と自分の胸が見えない矢に射抜かれたような衝撃に見舞われた。
 ……これが、これが萌え!?
 という謎の単語を脳裏に浮かべながら、衝撃から瞬時に我に返り、

「全然大丈夫だよ!」

 おいでー、と満面の笑顔とともに両腕を広げた小松に、クインの顔にパァァァァァァとこれ以上ないくらいに明るい輝きが宿った。
 了承を得られたことで喜色満面をそのまま絵に描いたような雰囲気を浮かべ、躊躇することなくぴょん、と小松の胸へと飛び込む。
 軽い衝撃とともに小松は胸に飛び込んできたクインの小さな身体を抱きしめる。クインも細い腕を小松の背へと回した。顔を寄せて、すぅ、と大きく鼻で息を吸う。

「コマツ、いいにおいがする」
「そう?」
「うん、」

 ユンが言ってたとおり、というクインの呟きは言葉にならなかった。
 肺の中いっぱいに広がるクインが言うところの『いいにおい』を溜め込んで、ほぉー、と息を吐き出す。
 小松も腕の中に居る小さな存在に、なんだか変な感じだな、と思いつつも淡い紫色の長い髪を撫でた。

 

 後に、それをこっそりと物陰からテリーとキッスも見ていたのだが(元々入り口までクインについてきていたので)、微笑ましい光景にまずテリーが「オレも! オレも抱きしめたい! コマツぅー!」と勢いよく走り出していってしまい。
 さらに、じゃれつく三者を見て「やれやれ」と肩を竦めていたキッスも、小松が自分のほうを見て手招きをしているのを見てしまえば、同じように抱きつきにいってしまったのだ。



 それはまた、別の話だ。
 ついでに、後に眠りから醒めたトリコとココ、そしてサニーが小松の元へとやって来るのもまた。
 そう、それぞれに『青いバトルウルフ』『毒を身に纏うエンペラークロウ』『七色のマザースネイク』という、なんとも特徴的すぎる姿となって現れるのもの、別の話として。






オレとボクとウチと、あのこ。