「小松くんに聞きたいことがある」
「……はぁ」
キリッと至極真面目な顔をしてココにそう言われ、小松は大人しくその場に正座して従った。
なぜ正座しているのかというと、ココがそれをしているからである。
ならば聞く体勢として同じことをしなくちゃいけないんじゃないかというのが、小松なりの配慮であった。何をそんなにしている真剣な表情をしているのか、と内心首を傾げているものの、それをおくびに出すことはない。
けれど向かい合って座ったところで、ココはなかなか本題を切り出すことはなかった。
なぜかジッと小松を……と、いうか、少しずれた位置を見つめたまま、黙り込んで動かない。
「あの、真面目な話ですよね?」
「うん、すごく」
さすがに黙ったままでは座りが悪いので、小松はそっと切り出せば、ココからすぐに答えが返ってくる。
ならば待つか、と小松が胸の内で決めたところで。
「小松くん」
「はい」
「その首筋にある絆創膏は、何のためだい?」
「え」
いきなり、本題を切り出されてしまって思わず小松が面食らって疑問符を浮かべてしまう。
え。聞きたいことってそんなこと? と思うのだが、その質問を茶化すような心根は小松にはないので、やはりというか、簡素に答えを返した。
「ああ、これですか?
実は、新しく買ってみた塗るタイプの湿布薬に負けちゃったみたいで」
「…………湿布?」
「久しぶりに肩が痛くなちゃって、でも貼るタイプのヤツは匂いがあるものが多くて、それはさすがに仕事場にはしていけないでしょう?
でもダメですよね、試さないと肌に合わないことがあるのはわかってたのに。
あ、もしよかったらココさん、見てくれません、」
「ごめんなさい」
「ええ!!!!!! ていうか、なんでいきなり土下座!?」
なぜか小松の話を聞いていたココが、綺麗な形の本気土下座をしてきました。
質問の内容も、そもそも今の話のどこに土下座をしなければいけないようなものがあるのかがわからず、小松はただひたすらに恐縮してココに『土下座は! 土下座はやめてください!!』とお願いした。
しかし、ココの謝罪は、しばらくの間続くことになり、その理由がわからず小松は涙目になる羽目になる。
ちなみに、というか。
賢明な方々なら何をココが気にしたのかは、言わなくてもわかるだろう。
首筋、絆創膏。
そこから導き出されるものは、実はあんまりない。
そしてその、いわゆる邪推に、謝罪をしたくなるというのもまた。
付き合ってるので、心配になることも、他の可能性が見えなくなることだって。