目を覚ますと―――、
すぐ側にキミが眠っていた。
いつもの煩さの片鱗さえもない、静かでそれでいて安らかそうな寝顔。
横になった状態のせいか、肩のあたりが薄く上下しているのが闇夜のなかでも(もっとも、ボクにはそんなものは関係なんてないけど。一応、気分の問題で)わかる。
静寂のなかで、すーすー、と定期的に鼓膜を揺らす寝息が、深い眠りを現しているようで、ボクはそっと唇を綻ばせた。
肩のあたりまでしっかりとかかっていたであろう、薄いシーツが胸のあたりまでずり下がっているのを見て取って、ソッと手を伸ばして音を立てないように気をつけながらかけ直しておく。
闇はひたすらに静かで、まるで世界すべてが眠っているような錯覚さえ連れてくる。
ここに今あるのは、ボクと、そしてすぐ隣にいるキミだけ。
他には何もない。
……ああ、それはなんて、甘美な想像なのだろう。
世界に他には誰もいない。
邪魔するものは何もなく、自分の腕の中という狭い空間だけで全てが結実しているんだ。
それは、ある意味で理想だ。
もう互いに離れる要素は何もなくて、ただひたすらにこの時間だけが続いていく。
永久が目の前に横たわっているような気がして、おかしさに唇が自然と笑みを浮かべた。
笑い出したいのを堪えながら、そっと唇をキミの額に寄せて口づけを落とす。
唇から伝わってくる熱だけがボクを狂気という甘美な誘いから、キミのいる確かな現実へと引き戻してくれる。
あたたかで、やわらかなキミの体を起こさないように最善の注意を払いながら自分のほうへと引き寄せていった。
腕の中には、ボクの望むものがある。
(ああ、だからこそ、キミはボクの理性(こころ)を喰い破るんだ!)
いつか、さめる