木枯らしが、銀杏と紅葉の葉を散らす道をゆっくりと眺める。
ここは舗装された道ではない。
山の中に作られた、所謂並木道のようなものだった。
剥き出しだった土の上に黄色と赤、そして茶の葉が幾重にも積もっていて、独特のグラデーションを目にうつしてくれている。
季節はもうすっかり秋めいていた。
ついこの前まで葉の色は緑だったのにと思うと、秋特有のもの悲しさを感じてしまう。
ひらひらと舞い落ちていく幾つもの落ち葉。
息を吐くとちょうど目の前に降ってきた葉をふわりと空中へ舞い上げた。
その様子にちょっと笑ってしまう。
「……おーい、小松ー。戻ってこーい」
脳天気な声が後ろのほうから掛けられる。
秋の景色を楽しんでいたのに、頭から叩き落とされたような気分になって、がくりと首が撓る。
「戻るも何もちゃんとここにいるじゃないです………かー! って、なんですか、その落ち葉の山!」
不承不承、振り返りながら返事をしていたところで、目の前の光景に小松は思わず叫び声を上げた。
お、良い反応。とその光景を作った張本人であるトリコは、なんだか楽しそうだ。
二人の前。
と、いうよりトリコの前には小山はあろうかという落ち葉の山が堆く積み上がっていた。
(なんだかどこかで見たような光景だ。)
その山の隣では、テリーが尻尾をパタパタと上下に振っている。
「うわ、テリーも全身落ち葉だらけ……」
純白の体毛が、今は落ち葉まみれになっている。
「こいつと一緒に集めたからな!」
「なんで偉そうなんですか!」
「ウォウ!」
「テリーも嬉しそうにしないの!!」
脳天気な主人と、その相棒に小松は即座にツッコミを入れた。
頭痛を覚えて頭を片手で抑える。
頭の奥のほうが、こう、ずーんと重たい痛みを発しているような気がするのは、小松の気のせいだろうか。
「……で…」
「おう」
「…この、落ち葉の山は…何をするために?」
「何って、小松。落ち葉と来たらやることはひとつだろ?」
にぃ、と笑うトリコは後ろに置いていた小山へと振り返る。
小松もそれにならって視線を滑らせると、ああ、確かに。
「……お芋ですねぇ」
「特性の天砂で作った甘藷だ。一口食っただけで蜜が詰まってんじゃないかと思うくらい甘いぞー」
ああ、確かに。
確かにそれは、とても美味しそうだ。
小松もなんとなくお腹の虫が鳴りそうな気がしたのだが、そこをあえてグッと堪える。
「………こんなところでたき火なんてしちゃいけません」
火事になったらどうするんですか、と小松は正論を投げかけた。
そもそも燃えるものなんて、落ち葉の山だけでなくこのあたりにはそこら中から降ってくるようにあるわけなのだ。
「いいじゃねぇか、ちょっとくらい」
「だめです」
「小松はいらないのかよ」
「いらないと聞かれたら断然欲しいですけど、とにかくしちゃだめですってば」
不満そうなトリコとテリーの様子に、小松はやっぱり似ているなぁ、と暢気なことを考える。
「……ボクが何か作りますから」
その発言に、トリコの表情筋がぴくりと動く。
「……スイートポテト」
「シンデレラ牛の生クリームを買って帰りましょう?」
「それなら家にある………パイとか、あとは…」
「それってほぼさっきのと同じような……ああもう! とにかく、作りますから!」
早く持って帰りましょうと小松が急かす。
小松だって甘藷は食べたいのは本当だ。
料理だって色々としてみたい。
「ほら、トリコさん! テリーも、早く」
「…仕方ねぇな。ならちっと我慢するか、なぁ、テリー?」
ウォン! とテリーが了承したと言わんばかりに鳴く。
積まれていた芋を分担して運び(ほとんどトリコが運んでくれるのだが)、その場をあとにするまで、もう少しだけ落ち葉のあめを、
お芋も美味しい季節になりました!