(これより先は、音声のみで事態を察してあげてください)
「…………なんだ、もう朝か」
「あー…なに、ココ、前もう起きんのかー」
「もうっていう時間でもないけどね。
お前も起きたんなら先にシャワー浴びて来てくれないかな?」
「まだオレねみぃー」
「お前はただでさえ風呂に入ると長いんだから、後のことを考えて先に行って来る」
「って、んなこと言いながら手に毒とか滲ませんじゃねーよ! 脅迫か!」
「半分はね。もう半分は強制。お前に選択権はないよ」
「っ……あーもう、わーった。先に行ってくる!」
「よろしく」
(足音。浴室のドアの開閉音)
「………さて。
お前も狸寝入りなんてやめたらどうだい?」
「ばれてたか」
「呼吸の音が変われば大抵はわかるよ………サニーと、小松くんは気付いてないみたいだけど」
「小松は?」
「お前の横でシーツにくるまって寝てる」
「ん? ……また頭からすっぽりかぶってんな」
「(くすくす)ちょっとした小山だよね」
「昨日んな疲れることしたか?」
「さぁ? お前やボク、それにサニーはともかくとして彼は、ね」
「含みを持った言い方だな」
「そういうトリコこそ、随分と意地が悪そうな顔してるよ」
「お互い様だ」
「それに関しては自覚してる……と、でも正直な話、かなり疲れてるみたいだよ。これだけまわりから音が聞こえても目覚めてないし」
「起こすか」
「それは可哀想だ」
「それは昨夜的な意味合いでか? それとも起こすことでか?」
「だからトリコ、お前はもう少し言葉を選べ」
「はいはい」
「で。ボクは紅茶でも入れてくるけど、お前はどうする?」
「めんどくさいからそれでいい」
「了解」
「…………」
「起こすなよ?」
「後ろ向いてんのになんでわかんだよ」
「お前のことだからちょっかいを出すのは簡単に予測できる。
自然に目覚めるまで待ってあげたら? 疲れさせた原因はお前だってわかってるだろ」
「お前だって原因の一端だろ」
「それも含めて、ね」
「過保護だな」
「なんとでも言え……暇なら服でも着たら?」
「お前だって似たような恰好だろ」
「ズボンくらいは履いてるよ。お前みたいに半裸よりはマシ」
「ちっ……あー…服な。オレの服どこだったっけか」
「そこのあたり。お前といい、サニーといい、脱げ散らかしすぎだよ」
「……ココ」
「なに」
「お前、おかんみたいだよな」
「ポイズンドレッシングでいいよね?」
「やめろよ、冗談だって! わかったら致死毒出すなって!!」
オチなんてありません。いつもの光景を、ほんの少しだけ。