常日頃というか。
いつもの、小松はとにかくうるさい。
喜ぶときは大きな口を開けて全力で笑うし。
泣くときはそりゃあもうボロボロと鼻水まで垂らして、体中の水分が枯れるんじゃないかというくらいに泣いてる。
怒るときは相手が誰だろうと指をさしながら盛大なツッコミを入れるのが常で。
驚くときは、なんていうかもう、隣にいても耳が痛いくらいだった。
背が小さいのに反比例してかは知らないが、声がとにかくでかい。
もっとおしとやかに驚け、と忠告したのは、一度や二度じゃない。
だから、
だから、
この、泣き方は反則だ。
泣いてる。
いや、泣くのは、まだいい。
いいや、あんまり良くはない。
相反する思いに自分の心がぐちゃぐちゃに掻き乱されるのがわかる。
だが、この際だ。泣くのは、まだいい。
なんで、こいつは泣きながら、笑ってるんだ。
静かに、まるで、泣き声を上げるように静かに笑っている。
こんな顔は今まで見たことがない。
だから俺は、声も掛けられず、その溢れ出す雫が頬を伝うのを黙って見てやることしか出来なかった。
呆然と、ただ見てやることくらいしか。
こんなとき、動かない自分の手が恨めしい。
どんな猛獣をも一撃で仕留める豪腕だとか。
切り裂く必殺技だとか。
そんなもの、こんなときには少しも役に立たない。
静かに、静かに、涙が溢れては落ちていく。
それを、勿体ないと思ったのは、何故だろうか。
だが勿体ないとそう思うのに、溢れ出す雫を拭うことさえ、出来ずにいる。
オレは馬鹿みたいに、阿呆のように、小松を見ていることしか出来ない。
静かに、笑って
静かに、泣いて
いつもみたいに、
オレにそれを向ければいいのに、と思うのは、何故だ。
花を見詰める貴方の眸を、僕は何時か何処かで確かに見ていた
title:貴方へ贈る花に想いを託す・5題 GODLESS