ハントに出かけたある日の昼下がり。
 道中の傍ら、手頃なところで捕まえたグルメ動物を食材にして腹を満たしたところで、しばらく休憩を取ろうということになった。

 それぞれが思い思いの場所で寛いでいるところで、リンと、そしてテリーは小松の側で座っている。
 と、いうよりその手元を興味深そうに眺めていた。
 リンに至っては、ふわぁ、と感嘆の声を幾度も上げている。

「すっごい……小松さん、器用だし…!」

 感嘆は手放しの称賛と驚愕の声で彩られている。
 聞かされている小松はと言えば苦笑いを浮かべるしかなかった。

「褒めても何も出ませんよ?」
「ううん、出てるっ! てゆーか、どこをどうしたらそんな凄いのが作れるし!」

 ビシッとリンが指さした先には、小松がいた。
 小松が、というよりは彼の手元が、なのだが。その彼の手元では、細やかな花輪が作られている。しかも、規則正しく緻密に編み上げられ、売られていてもおかしくはないレベルの品である。
 それを小松はその小さな指先でスイスイと編み上げているのだ。
 側にあった花を摘んで、手慰みにという次元のものではない。

「しかも繋ぎ目までわからないように小さな花とか差し込んであるし…!
 色の配置も綺麗で……」

 もうどこに驚いていいのかわからない。
 目の前の小さな料理人の意外な特技に驚かされるばかりである。

 テリーは小松の手元で見る間に編み上げられていく花輪に興味津々の様子だった。

「慣れたらこのくらい誰にだって出来ると思いますけど…」

 しかしながら小松は至ってのんびりとしたものだ。
 いや確かに花輪を作ろうというのであれば多少なりと出来る人間もいるだろう。リンにだってやろうと思えば出来る。
 ただ、小松の作るものはレベルが違い過ぎている。

「無理!」
「…そうかなぁ…?」

 ねぇ、テリー? と問いかけたところで、花輪が出来上がったらしい。
 丸く繋がった輪っかの繋ぎ目の部分に白い花があしらわれて、小松は喋っている最中でも動かしていた手を止めた。
 そしてその花輪を側で鼻先を近づけてきていたテリーの頭の上に乗せる。

 テリーはその小松の行動に感情の読みにくい目を小さく丸くしていた。
 その様子がおかしくて、小松がプッと吹き出す。
 真っ白な毛並みに、その花輪の淡い色合いは良く似合った。

「ああ! いいな、テリー! 小松さん、ウチも欲しーし!」
「リンさんもですか?」

 首を傾げる小松に、リンは勢いよく何度も頷く。

「いいですけど、ボクが作るので本当にい……」
「小松さんのがいーの! 綺麗だしっ」

 リンの力説に小松は苦笑を浮かべながらも、はい、と頷いた。
 側にまだある花を幾つか摘んでいくのを見たリンも、それを手伝う。




「……あいつらは乙女か?」

 一方。
 その語らい、というか、和気藹々とした風景を眺めていたトリコが、そのやりとりを評して呟く。
 サニーは両方とも乙女じゃねーな、と茶々を入れ、ココが微苦笑を浮かべて自分の意見を言うのを控えている。

 花輪を頭に乗せられたテリーは、何やら落ち着かない様子だったが、小松たちの側から離れようとしない。
 ふわりと柔らかな尻尾を揺らしていた。






さらにとある日の料理人と、猛獣使いと、バトルウルフ。(それから美食屋さん達も少々)