その音に、私は深く反応していた。

月に至る挿話


1999.12.25


  月を見たいと、彼が突然言い出した。
 「こんな夜中にか?」
 「だからいいんだよ。さ、行こう。」
  おかしなところで頑固な彼に無理矢理連れ出され、外に出ていった。
  
  月は、もう消えようとしていた。
 「・・・ほら見ろ。この時間帯には月も消える。」
  それでも彼は微笑んだ。
 「そうかな? 消えかかる瞬間が一番美しいと思うけどね。」
  その言葉に、一瞬、恐怖する。
  何かわけのわからないものが体の奥のほうに浮き上がってきた。
 「そう。消える瞬間はどんなものでも美しいものだよ?
  命が消える瞬間なら、なおさらだけど。」
  
  逃げなければと思った。
  だが、体が動かない。
  まるで月の呪縛にかかってしまったかのように。

 「・・・お前は、どうなんだろうね・・・?」
  彼の手が首にかかった。
  力をこめれば彼の手で握りつぶされるだろう。
  命が。そして、この心が。

 「・・・ためしてみるか?」
  それでも最後で抗った。瞳を見据え、言葉を紡ぐ。
  すると彼の手がすうっと離れていった。
 「いいや、やめておくよ。お前に死なれたら、つまらないからね。」
  彼の微笑みがいつものように柔らかいものになった。

 「・・・ここは寒い。そろそろ戻るぞ。」
 「ああ、そうだね。もう月もないし・・・」

  二人連れだって歩き出そうとした。
  そのとき、ふと空を仰いだ。

  そこにないはずの月が、あるような気がして。

<エンド>




(・・・・なにをしているんだあああああ!!!(爆)
 いちお、マチルダ騎士sの話になっております。名前は出てこないけど、それなりに感じをこめて。
 でもこれは小説とは言えないですね・・・とほほ。
 次こそ中身のあるやつを作ろう!(おい!!))