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柔らかい思い
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「・・・・・・リュウ。」
何となく強いような、弱いようなそんな不思議な感覚のする声に呼び止められ、リュウセイは振り返った。
するとそこに紅い髪の少女が立っていた。
「なんだレビか・・・どーしたんだよ?」
「いや、今暇か?」
そう聞かれ、リュウセイは、ん、と首を捻った。
とりあえず、今のところ誰にも呼び出しは受けていない。
今もとりあえず格納庫に行こうかとしていたところだ。
「いや。で、何かようなのか?」
「・・・・・・笑わないか?」
「なんで笑うんだよ? 何か困ったことでもあったのか?」
いつもは鈍感なリュウセイもレビ相手にはそうではないらしい。
何となく、サイコドライバー同士の無意識の疎通、らしいが。
「・・・・・・・・・わからないんだ。」
「どこが?」
「・・・・・・お前の、部屋の場所が。会いに行こうとしたが、どこかわからなかった。」
一瞬、止まる場。
リュウセイは目を丸くしていたが、すぐいつもの笑顔を浮かべると、
「そういえば一度しか行ってないもんな。んじゃ、今から行こうぜ。」
「いいのか?」
「ああ。俺のとっておきを見せてやる!」
「・・・・・・とっておき・・・・・・」
何となく予想はできた・・・アヤから聞いているのだ・・・レビだったが、口元に柔らかい笑みを浮かべるだけにとどまった。
レビはつい前まで(時間にして二日ほど前)敵だったのだ・・・ロンド=ベルにとっては。
だがリュウセイの度重なる説得のよって、彼のために何かをしたい、と思ったレビは敵側から寝返り、今は味方としてロンド=ベルにいる。
しかし仲間となった今でもレビはリュウセイ以外には馴染まずにいた。
そしてよくリュウセイの傍にいる。
一応、戦闘も起きていないのでブライトも放って置いているのだ。
リュウセイも、細かいことには気にしない質(タチ)で。
「そーいえばさ、レビ、クスハにはもう会ったか?」
「・・・・・・ああ・・・昨日、夕餉のあとで・・・」
クスハとは、リュウセイとレビのほかに数少ないサイコドライバーの能力を持つ少女である。
レビは昨日、ブリットと一緒にいたクスハに呼び止められたのだ。
「ふーん・・・で、どんな話しをしたんだ?」
「・・・・・・・・・・・色々と。」
どうやら言いたくないらしい。
それを感じ取ったのか、リュウセイも生返事をしただけで会話は続かなかった。
・・・クスハと話したこと・・・
レビはそれを思い出しながら、記憶に意識を埋没させていった。
レビって、リュウセイくんのこと好きなの?
「・・・!! どうしてお前にそんなことを言わなければならない!!」
あ・・・怒るってことは、本当のことなんだ?
ああ、怒らないでね。私はそういう気持ち、いいことだと思うから。
「・・・いいこと?」
そう。レビにちゃんとした心があるって証拠だもん。
「・・・・・・・・・そう、なのか?」
みんなはどう言ってるか知らないし、あなたのこともリュウセイくんから聞いただけ。
でも、私は本当にあなたとこうやって話をするまでわからなかったの。
「・・・・・・私は・・・」
深く考えなくてもいいよ。
私がそう思うだけだから・・・それにあなたも、私と・・・・・・
「・・・サイコドライバー、か・・・」
うん、でもそんなの関係ないよね。
「・・・・・・よく、わからない。」
「ん、何が?」
急にひょいっとリュウセイに顔を覗き込まれレビはハッと我に返った。
優しいブラウンの瞳が自分を見ている。
「・・・レビ、顔赤いぞ? 熱でも・・・・・・」
「そんなもの、ない! 私はなんでもない!!」
「でもなぁ・・・・・」
「なんでもないったら!!」
これ以上顔を見られたくないという思いでレビは一杯になった。
顔に体じゅうの血が集まってしまったかのように熱い。
心臓の音がうるさいくらいに聞こえる。
どきどき、している。
「・・・ん、それならいいけどさ。」
やはりリュウセイはどこまでも鈍感なようだった。
だがレビに向かって手を差し出す。
そして少女が自分のほうを見つめたのを確認するといつもどおりの笑顔をみせた。
「行こうぜ。俺もお前にはやく見せたいからさ!」
その笑顔に、レビは一瞬呆然となった。
しかし、すぐに心の奥に広がる優しい感覚に身を任せ、ふわりと微笑んだ。
「うん!」
そして差し出された手を握りしめ、ギュッと力をこめる。
手のひらから流れてくる体温は、不思議なほど温かかった。
好き、好き。あなたが、すごく好き。
それはとてもあたたかくて、柔らかくて。
私を自由にしてくれる。
<終>