何はともあれ、皆さん。羽目のはずしすぎには注意しましょうね。
「おらおら〜、もっと飲まんか〜!!!」
「なんだとっ! 俺の注いだ酒が飲めないっていうのか!!!」
・・・ここ、ロンド=ベルの主力母艦、アーガマのミーティングルームはすでに酔っぱらいの巣窟と化していた。
何しろ人数が人数だから飲む量が半端ではない。
しかも酒好き(宴会好きも可)や、ざるははいて捨てるほどいるため散乱する空の酒瓶も大量になっていた。
・・・何故、宴会をはじめたかというと。
まあ、お祭り好きの面々が(名前はあえて伏せさせていただこう)いつ死ぬかもわからない状態なんだから、それなら比較的平和な今、みんなで酒宴を開きたい、と。
これに多くの者が賛同し、ますます胃を痛めながらも許可したブライト。
彼の目下の悩みは胃に穴が開かないかどうかである(すでに開けかけているが)。
「・・・皆さん、大量に飲んでますね・・・・・・」
「うん、そうだね・・・・・・」
酒宴ともなれば子供に出る幕はない(それでも大人達は無理矢理飲ませようとするのだが、逃げたりもする。犠牲者はすでに片手で足りないほど出ていたりするが)。
エヴァンゲリオン初号機のパイロットであるシンジと、ゲシュペンストMkUのパイロット・サイナも逃げてきた未成年者のうちの一部である。
レイはその横でもくもくとサラダを食べている。アスカはすでに犠牲者になっていたが(笑)。
ちなみにシンジとサイナが飲んでいるのは市販のコーラである。
「・・・でも、みんな楽しそうだよね・・・」
ぽつりと呟いたシンジ。
どこか柔らかいイントネーションに、サイナがにこっと笑った。
「ええ。皆さん、こういうお祭り騒ぎが大好きみたいですから。」
「うん、わかる・・・・・・・あ。甲児さんが倒れた・・・」
飲み過ぎのため、ぶっ倒れたのである。
そこへ救護班がすばやく到着し、酔いつぶれた甲児を医務室まで鮮やかに運んでいく。
「・・・これで・・・十四人目、かな?」
「・・・それでも皆さん、飲み続けてるんですよねぇ・・・」
「うん・・・・・・」
これだから大人(二十歳以上)って。
と思い、二人が顔を見合わせて溜め息をつく。
・・・レイはもくもくとにんにくラーメンチャーシュー抜きを食べていた。
「よー。ふたりとも、なあにはなしてんだよ〜。」
すると突然、サイナの背後から誰かの声がした。
それと同時にがばっと抱きつかれ、サイナは悲鳴すら上げられずぱくぱくと口を動かしている。
「し、忍さん・・・! お酒臭い!!」
「おう! 俺はいまとってもいいきぶんだぜ〜」
けらけらと笑う忍。そう、今サイナを背後から抱きしめて、酔っぱらい親父よろしくな態度をとっているのは、誰あろうダンクーガのメインパイロット、藤原忍その人である。
しかも、完全に酔っぱらいとかしていた。
「サイ〜おまえものめー!! 一人だけしらふとは・・・」
「ひ、ひ・・・し、しのぶ、さん、はなしてくださいよぅ・・・!!」
やっとそれだけ言ってじたばたともがき始めたサイナであるが、腕力で忍に勝てるわけもなく。
「のまんとはなさーん!!!!」
「ひにゅぅぅぅぅぅぅぅぅ〜・・・・・・(;;)」
あえなくおもちゃにされていた(笑)。
いつもなら止めてくれるであろう沙羅も、今は遙か彼方(直線距離にして約10メートル!)で女性陣と酒一気のみ対決などを繰り広げていた(不運とは重なるものである)。
シンジは・・・これ以上犠牲者は出したくないので、目で「来ちゃだめ!」というオーラを出しておく。
レイは・・・ただひたすらにラーメンのスープを飲んでいた。
ああ、とりあえず(犠牲者にならない程度で)誰でもいいから助けて〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
と、心の中で叫ぶサイナ。
・・・その願いは、神様とやらに届いたらしい。
「忍さん! いったい何してるんですかっ!!」
あうぅ、その声はジェスさん!!(♪)
これも天の助けとばかりにサイナが嬉しそうにジェスのほうに振り返る。
だが。
一瞬後、その顔がまたしても恐怖に引きつった。
「いいかげんにしないとぉ! さらさんがしらふのときにいいつけますよぉ!」
酔っぱらい第二段到来!!!(爆)
どうやら神様というのはほとほと他人のトラブル(もしくは不幸)がお好きらしい。
だがこの攻撃は意外と利いた。
「な・・・卑怯だぞっ、ジェスぅぅ!!」
・・・酔っぱらっていても忍は沙羅には弱いらしい。
・・・・・・惚れた弱み?(おい)←これは神のお言葉です。
ジェスは忍に卑怯呼ばわりされても怒る気配すら見せず(いつもなら否定する)、ふっと鼻で笑う。
・・・? あの、ジェスさんが・・・鼻で・・・???
どうやらジェスはお酒の飲み過ぎで人格が変わっているらしい。
『ちょっとまってよおおおおおおおおお・・・・』
と、いうサイナの心の叫びは結局、神様には届かなかったらしく。
忍は不承不承、サイナを離すと、そのままジェスのほうにボンッと押した。
たちまちのうちにサイナはジェスの腕のなかに収まり、そのまますっぽりと抱きしめられる。
「あぅぅ・・・ジェスさぁん・・・・・・」
「ん〜・・・無事でよかったぞ〜♪」
サイナの涙声も何のその、酔っぱらいジェスはそのまま頬ずりなどしてくる。
忍はすでに他のおもちゃ(生け贄)を探して、今度はシンジがその犠牲者になりかけている。
レイはあいかわらずニンニクラーメンチャーシュー抜きの二杯目を食べている。
他のみんなはあいかわらずの馬鹿騒ぎだ。
「さ〜い〜♪ もうはなさないぞ〜☆」
「はにゅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・」
そしてこの二人のラブラブぶりもあいかわらずである(爆)。
ジェスはいつもの熱血ぶりやらなにやらが剥げて、すっかり自分の感情に素直になっているのだが。
だが、サイナには気づける余裕すらもない。
・・・実は、ジェスはこの時まだ理性が残っていた。
サイナはお酒が一滴も飲めないのでシンジたちとばかり飲んでいたのを見、なんとなくおもしろくなかったのだ。
そしてそこに酔っぱらいとはいえセクハラ親父と化した(失礼)忍のあの行為だ。
・・・・・・酔っぱらいのふりをして引き剥がし、そして今度はそのふりをしたままサイナを抱きしめる。
・・・我ながら・・・・・・
「我ながら・・・ずいぶんと遠回りだな・・・」
いつもの戦いのように、何とかなればいいのに。
そう思ってしまうレナンジェス=スターロード(19)。彼はまだまだ若かった。
<おまけ>
「はい、ドモン。あーんして♪」
「・・・・・・(黙って口を開けて、差し出されたエビフライを食べる)」
「おいしい?」
「ん。」
注意、二人とも酔っぱらいです。
「甲児く〜ん、甲児く〜ん〜。」
「甲児ならさっき医務室に運ばれてったぞ〜。」
「えー! なら私が、治してあ・げ・て・こ・よ♪」
注意、さやかも酔っぱらいです。
・・・とりあえず、酒さえ飲んで前後不良にでもなっておけば人間素直になれるものなんです。
・・・・・・だがしかし。
一部のクルーを除いて、次の日、ほぼ全員が二日酔いの頭痛で出撃できなかったのは・・・・・・
自業自得といえばそれまでであろう(爆)。
そして出撃したのはエヴァ零号機、初号機。ゲシュペンストMkU。
アーガマのみだった。
・・・さあ! これでいいのか、ロンド=ベル!!!(よくないよっ!)
<終>