<『クラネス』>
「契約の名の下、柊優華が命じる。絶望なさい、クラネス。」
『使用者は優華。緑の属性本来の精神に作用するもののなかでも、絶望を与える精神魔法。
恐慌状態に陥らせるためのもので、本来は団体に向けて放ち、パニック状態にすることが目的。』
<『ゴガ』>
「荒れ狂う嫉妬深き炎の女神ゴガ。焼き尽くせ、この場のすべてを。」
『使用者はリョウ。範囲限定の爆発系呪文であり、範囲内にいる敵を焼き尽くし、爆惨させる。
本来ならもっと長い詠唱を必要とするが、『印(サイン)』によってそれを省略可している。』
<『フラスコ』>
『使用者はタナトス。彼の場合は、フラスコやビーカーといった実験器具を使って魔法発動の合図としている。
フラスコは地面に放り投げれば、その場直径5メートルほどの敵を飲み込む。
少しでも『水』を含むものを軟化させ、物質転換を施し……といった、かなり複雑な構成の仕方をしている。』
<『緑の守り』>
「緑よ緑。我は緑の者にしてお前達の友。友たる我らに守りの盾を。完遂せよ、緑の守り。」
『使用者は優華。言霊として神話に登場する神や幻獣を使っていない珍しい部類のもの。
範囲内にいる味方を取り囲むようにして緑の蔦を張り巡らせ、防御陣を敷く。
防御力としては、戦車の突進くらいなら幾度か防ぐことが出来る程度。』
<『ハスター』>
「そは<名伏しがたきもの>。夜の星の間に封じられたもの。今一度、その姿を我の前に示せ。ハスター。」
『使用者はルビー。見えない風の力によって対象者を押さえ込む。
さらに、押さえ込んだ対象者を切断するという『ハスター』の名、それに相応しい呪文。
ちなみにハスターはクトルゥ神話に登場している。』
<『接続(アクセス)』>
『使用者は優華。ゲーテ、そしてラプラスを使って『施設内』のコンピューターを乗っ取るために用いた。
コンピューターの電子回路、そして電子頭脳を『精神』として操作し、手懐け、騙し、乗っ取る。
乗っ取るという語源は悪いが、まさに主導権を握り、繋がっているものなら何でも使うことが出来るようになる。
ただし、『今』の優華に単独でこの魔法を使うことは出来ない。
ゲーデやラプラスを経由して初めて構成できる。』
<『二重世界』>
「それは時の流れであり、生命の鎖であり、すべての生命の約束された先。
刻み込まれた先が示すもの。可能性の先、希望へと進む意志の果て。
我はその約束された先を今ここに見せよう。我がすべてをかけて。時の歯車の先にいる女神よ。我が言葉を聞き届け賜え。
時の女神よ、糸持つ三女神よ。二つの伝説よ、重なりあい、その力を示せ。
過去を紡ぐウルド、現在を示すベルダンディ、未来を巻くスクルド…未来を断ち切るアトロポス、現在を計るラケシス、過去を作るクロト。」
『使用者は優華。『接続』状態にならなければ使うことができない。そして、単独では口にしただけで失神してしまうくらいの精神力を必要とする。
あらゆる意味で補助魔法。自分にはまったくその効力はなく、範囲内の味方にだけ作用する。
範囲内にいる味方の『レベル』をMAXにするという呪文。
精神的に成熟しておらず、また未熟か、あるいはピークを過ぎたものの魔法力を極限状態にするというもの。
構成において、つまり『脳』をそういう状態に『騙す』ことで持って行くことができる。
しかし構成段階においてそれがかなり『無茶苦茶』であることを発案者である優華は感じていて、今の自分に使うことなど出来ないと思い、構成だけはタナトスに伝えておいたもの。
それをタナトスは利用した。ゲーデとラプラスに、『そうする』ように構成を付け加えておいたのである。』
<『極限覚醒』>
「私は剣を願いし者。私は人を願う者。
私は生きる。花としてではなく、人として剣として。与えられた一振りの剣を手にとって、華やかに激しく舞い踊る。
それしか許されぬ人生ならば、私はそれでも構わない。
私は
私は恋に生き、愛に溺れ、散りゆくしかないただの女。
そしてその女としてのサガに生きる者。宿命に抗い、運命に立ち向かう、一人の女。
完成せよ 遂行せよ 完遂せよ
我が思いは 夜の闇を引き裂く朝の光。」
『使用者はルビー。『覚醒』と使用方法は似ているが、こちらはその意味合いとはまったく違う。
体全体に風の『虚実』を身にまとう。それは見た目には本物であるし、触れることも見ることもできる。
しかし『虚実』であるがゆえに痛みは感じない。また、言葉もうまく発することができなくなる。
ルビーは、『虚実』を自身の肉体年齢のピーク時…つまり、20歳前後の体を形作ったのである。
また、『虚実』であるがゆえに身体能力も格段にアップしている。
右足に黒いピンヒールを履き銀の鎖で閉じこめて、左足を黒いブーツで守り、
左手を無骨なシザーハンドで覆い、右手に<紅>と<蒼>の混合である「空」を持つ。
攻撃特化型のため、補助的な魔法は一切使えない。攻撃のみを可能とする魔法。』
<風舞姫 『明里(あけさと)』>
「汝はただの女より生まれた
ただの人間より出でて、ただ人として生きていたもの
恋に生き、愛に溺れ、そして、失った
汝の涙は白銀の鎧となり、汝の言葉は金色に輝く鎖となった
髪を落とし、生涯をただ一人に捧げると誓った
約束に生き、制約に縛られ、そして、悲しみに閉じこめられる
二度と出会えはしないと知っていながら、汝はただ一人のために剣を振るうであろう
愛に狂いしその魂。絶望に染められた瞳
豪華絢爛にしか生きられぬ、血に塗れた舞踏を踊る女
『使用者は『極限覚醒』状態にあるルビー。白い女であり、唇に紫の紅を引き、手足に金色の輪をつけた姿で現れる。
身にまとうのは死に装束。手には巨大な肉切り包丁を持つ。
翼の右上から現れ、刀である<山南敬助>を媒介にして生まれた。
そして『名』をもらったあと、金の輪は金の装飾品に、死に装束は花嫁衣装へと変化する(ただしかなり乱れている)。
字の明里そのままに、たったひとりの人(=ルビー)のためにその力を振るう。
明里は慈愛や忠誠、そして欲望といったルビーの感情から生まれた。』
<イタクァ 『恒雄(ふぁぬん)』>
「其れは旧支配者
風を身にまとい、その姿をけして人に見せず、其処に存在していた
吹雪のなかで生まれ、人を襲い、禁断の土地へと連れ去り、殺していった
祖は無慈悲なもの。祖は誇り高き獣
旧き制約のなかで生きるものよ
言葉はいらない。名もいらない。すべてが祖を、祖と、定めるであろう
風が祖を、定めるであろう。風があるかぎり、風がふくかぎり
支配者として高潔であり、そして支配者であるがゆえに傲慢で。縛られることもなく、抑えつけられることもなく、風と雪とともに生きる獣。」
『使用者は『極限覚醒』状態にあるルビー。四つ足で地面につき、動物的な姿をしているがこの世のどの生物にも似ていない。
銀の毛並みを持ち、その瞳は闇そのものの暗い漆黒。
翼の左下から現れ、刀であるもう一振りの<山南敬助>を媒介にして生まれた。
名を定められたあとは、金と銀の毛並みに変わり、たった一つしかない目も主人と同じ赤いものに変わった。
首輪をすることになるが、それは主人と彼とを繋ぐ絆であり、気にしていない。
恒雄は高潔、誇り、そして傲慢といったルビーの感情を糧にして現れた。
また、彼と彼女(明里)はルビーであってルビーではなく、彼らであって彼らでない。
意識は共有しているようで共有している。とにかく人の心というものの不可思議な部分で存在している。
そのためか無意識ではあるが朔良の『願い』に従い、その背に乗ることを許す。
人語を介すことができるが、意識化での語源のため伝わる相手は少ない。』
・武器
<斉藤 一><山南 敬助><紅>
『使用者はルビー。順番に、太郎太刀、基本的な日本刀をモチーフにして作られている。
紅のみは、刀工であった祖父が『贋作』ではないものを作り出した数少ないもののひとつ。
斉藤 一は、刀の部分のみで一メートル五十センチも長さはあり、柄の部分と合わせると全長は三メートルを軽く超える。
山南敬助は基本的なもので、脇差しとの双振りで構成させているが、刃の部分がない。』
<今剣→蒼>
『使用者は不明。ただ、<白い世界>のなかで、青年から朔良の手に渡された小刀。
閉ざされた心の扉をこじ開けるための刀であり、剣。傷つけるのではなく、気づかせるためのもの。
厳密に言うと武器ではないが、刀の姿としてあるので武器とする。
そして朔良からルビーへとそれが引き継がれ、名を『蒼』と新たに銘打つ。』
<空>
『使用者はルビー。魔法武具である「紅」と「蒼」をさらに混ぜ合わせた刀。
巨大な日本刀であり、刀身は細いのにもかかわらず、全長は柄をあわせて2メートル以上ある。
刀身は真空で出来ていて、さわることは出来るが触れたものを両断する。』
<拳銃>
『使用者は様々だが、リョウを例に挙げると、彼は自動式拳銃と回転式拳銃の両方を好んで使用している。
二丁拳銃は標準が定めづらく、はっきり言って実践向きとは言えない。しかし、熟練者の場合はそうでもないようだ。
タンタロスは回転式自動連射銃を使う。重量があるが、複数を相手にしたときの破壊力は絶大。』
・場所
<研究所>
『終結における戦場のひとつであり、メイン舞台。
とある山間に隠されるようにして建てられており、内部は複雑。しかも非常時には結界が張られ、侵入者は結界内では魔法を使えにくい状況に陥れられる。
(使えないわけではないが、構成やらが難しくなる)』
<施設>
『終結における最終決戦の舞台。
タナトスが働いている先であり、治外法権の場所でもあることからそれ相応の場所であることは間違いない。』
以下続刊。